2019年5月の読書会は課題図書制

2016年の3月に始まった夜の読書会は毎月欠かすことなく第2火曜日に行い続けて3年が経ち、先日の読書会から4年目が始まりました。
毎回、各月のレポートを掲載していますが、まずは先に来月の読書会についてのお知らせです。

いつも自由に本を持ち寄って紹介を行っていますが、5月14日(火)の読書会では課題図書を決め、その本を軸に話し合う形で行いたいと思います。
課題図書は、東浩紀『弱いつながり―検索ワードを探す旅』です。
すでに前回の読書会で話したり、Facebookページに書いたりしているので重複もありますがまずは本の紹介。

哲学者、批評家である東浩紀氏が2014年に書かれた本で、内容は東氏自身の『観光(旅)』をベースにエッセイのような形式で書かれています。
その『観光』とは、単に旅行に行って温泉に入ってということではなく、既知の領域を越え、未知の領域に身を置くことと重ねてあわせてあることがこの本のポイントです。

序文に出てくる例を挙げます、アメリカの社会学者が提唱した『弱い絆』という概念です。
・300人の男性ホワイトカラーを対象にした調査では「多くのひとがひととひととの繋がりを用いて職(転職先)を見つけて」おり、しかも「高い満足度を得ているのは、『たまたまパーティーで知り合った』といった『弱い絆』をきっかけに転職したひと」である

これは、現在の自身の仕事の領域(既知)から、たまたまから生まれた転職先(未知)に身を置く例ですね。なんとなく伝わるでしょうか?
本を読む(選ぶ)ことについて考えると、今はデータ収集とその活用が飛躍的に進むことで『自分自身が面白いと思える』本を探すことは容易になってきています、例えばAmazonで本を買っていれば、近い趣味の人が買った本のリストなどから自動的に『おすすめ』してくれる。先程の転職に引きつけていうと、〇〇のスキルを持っているから転職先は△△、みたいな構造です。
でも、それって味気なくない? それが自分自身の”かけがえのない”人生なのか?
ざっくりというとそういうことが書かれた本で、それに対する作者のこたえは『検索ワードを探せ』ということ。
ちょっと飛躍した感じもありますが、Amazonのたとえを踏まえるとなんとなく察していただけるのではないでしょうか?

読書会では参加いただく方が各々どういうふうに本の話をしようか考えて、集まって話しています。
仮に「Amazonのオススメの方が面白い本に出会える精度が高いのでは?」と言われてしまったら、
まあそういう側面もあるかもしれないが、そういう事ではなく、、、という感覚は共有いただけるのではないかと思います。

ということで、読書会と言う場に集まる意義のようなことを含めて、じっくりと話をしたいと考えています。
ここまで長々と書いて恐縮ですが、もう一点だけ。
できれば、課題図書(弱いつながり)+それを読んで連想した本もご用意いただければ、さらに別の方向につながる発見などもあるかと思います。

『弱いつながり』自体は、先にも述べたようにエッセイのように書かれた本で、読みやすく、おそらく一時間程度あれば読み切れる分量です。
ご興味のある方のご参加を、心よりお待ちしております!

■弱いつながり(Amazon購入ページ)
https://www.amazon.co.jp/…/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_94FRCbNPX…

■[書評]『弱いつながり』 – 今野哲男
https://webronza.asahi.com/cult…/articles/2014121100002.html

■紀伊國屋じんぶん大賞2015 東浩紀さん 受賞スピーチ
https://www.youtube.com/watch?v=h9kihP_hBSo